ハルカトミユキ10周年ライブ『十字路に立つ』特設サイト

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    藤宮若菜(歌人)

    ハルカトミユキ10周年ライブ『十字路に立つ』特設サイト

    2022/10/01 10:28

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    17才、高校2年生。10年前のわたしは、へたくそな短歌を書き殴りながら、何者かにならなければ生きている意味がない、という焦りを身体からはみだすほどに抱えて、なぜか無闇矢鱈に校則を破りまくっていた。髪を染めれば、メイクをすれば、セーラー服のスカートを短く切れば、いつか、何かが変わるような気がしていたから。


    そんな時期に出会ったのが、インディーズデビューを目前に控えたハルカトミユキ、そして歌人・福島遥というふたつの圧倒的な存在だった。初めて「Vanilla」という曲を聴いたとき、もうずっとこのひとたちから離れられないのだろうな、と当たり前のように感じたこと。「灰色がこの世でいちばんうつくしくなる瞬間にぼくは泣いてる」という短歌にふれたとき、本気で短歌をやろう、と決めたこと。きっと、一生忘れない。こわかった。人生が変わる音がして、とてもこわかった。


    10年間、変わらずライブに通い続けた。セーラー服が私服に変わって、リクルートスーツに変わって、また私服に変わって、わたしは大人になった。ハルカトミユキの音楽とともに、変わったり変わらなかったりしながら、それでも生きて、生き延びて、大人になった。


    あの頃のわたしの夢は、歌集を出版すること。そして、その本の帯文をハルカさんに書いてもらうこと。夢は目標になり、現実になった。この夢を叶えることができたのは、ハルカトミユキがどんなときも音楽をやめずにいてくれたから。ステージに立ち続ける姿を見せてくれたから。わたしも書くことをやめずにいたいと、そう思えた。


    いまのわたしの夢は、生きているかぎり言葉をやめないこと。そして、いつかハルカさんと短歌のお仕事をすること。

    どれだけ苦しくても、もう1文字も書けないと泣くだけの夜が何度あっても、それでも。それでも、わたしは短歌を書き続けていたい。






    藤宮若菜





    http://www.kankanbou.com/books/tanka/shinei/0468

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