小沢佑太(劇団CLOUD9主宰/教師)
10年前。15歳。中学3年生。
生徒会長やって、文化祭のクラス劇を運営して、
テスト前になると友だちに数学を教えてた。
10年間、僕の主軸は「教育」だった。
人前に立つことが好きというわけではなかったが、何か新しいことを始めるのが好きだった。
演劇というものが楽しいと思えたのも苦しいと思ったのも、この時期だった。
他人に求められることが嬉しくて、
頼りにされると承認欲求が満たされた。
当時の僕にとってそれは
「教える」という行為だったのだと思う。
高校生で東日本大震災を目の当たりにして
学校教員を志すことにした。
真っ直ぐ一直線に教員道を歩み始め、
迷うことなく教育大学に入った。
大学で趣味として演劇を始め、
主としてはずっと教育のことを考えていた。
有言実行。
大学卒業後、新卒で学校教員になった。
夢が叶った。頑張った。
コロナ禍と同時期、
毎日毎日、心身を擦り減らして働いた。
8月21日、ベッドから起き上がれなくなった。
頑張れなくなった。
自分の中でのプライドみたいなものは
じわりじわりと崩れていき
いろんなことがどうでも良くなった。
いろんな人を傷つけて遠ざけて失った。
自分の歩いてきた道を振り返った。
疑って、悩んで、迷って、留まって、焦って、
座って、立って、決めて、動いて、動いて、動いて、
今ようやく、もうひとつの道を歩み始めた。
あれから10年。25歳。社会人3年目。
劇団を立ち上げて、仲間を集めて演劇を創って、
その傍ら学校現場で先生をしている。
今やっていることの種はほとんど、
10年前にはもう蒔かれていたのかもしれない。
ここからの10年の主軸は「演劇」である。
人前に立つことが好きというわけではない僕は、
何か新しいことを始めるのが好きだ。
劇団という形で、
演劇というものの可能性と闘うことにした。
他人に求められることが嬉しかった僕は、
仲間を頼り大切にするということを覚えた。
自分の価値を無条件に認めてみたら
未来はけっこう優しくて明るかった。
今隅っこで鳴りを潜めている教育は、
僕にとっては「共に学ぶこと」である。
この先10年間の夢は、
演劇を媒介にして素直で豊かな自己表現を尊重し合える場をつくること。
その場所の名は【CLOUD9】
今僕は、この先10年の伸び代を決める第一歩となる
旗揚げ公演に向けて、ガムシャラに挑戦している。
小沢佑太
[公演]
https://stage.corich.jp/stage/164105
[旗揚げ公演のためのクラウドファンディング]