ハルカトミユキ10周年ライブ『十字路に立つ』特設サイト

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杏(学生)

ハルカトミユキ10周年ライブ『十字路に立つ』特設サイト

2022/10/01 10:09

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 10年前は小学6年生で、中学受験の勉強に励んでいた。通っていた小学校は4年生の途中から学級崩壊し、暴力や暴言で溢れていた。背の順で並んでいるだけなのにいきなり足を踏みつけられたり、窓ガラスが割れたり、殴り合いになって何人もの先生が割って入ったり。6年生の後半は授業を受けた記憶があまりない。こうした理由から地元の中学校に通うことに不安があったのと、体のこともあり中高一貫校を志望校として忙しい毎日を送る。塾には気の合う友人がいて楽しかったし、勉強すればするほど結果が数字として表れ、中学生になったらきっと今よりもマシな生活が送れるという思い込みで頑張ることができた。そして、無事に志望校に合格。卒業文集には大好きなバンドがきっかけで音楽誌を読むようになり、自分の言葉で大好きな音楽の魅力を伝える仕事がしたいと書いた。


 しかし、私が漠然と思い描いていた日々とはかけ離れた生活が待ち受ける。中学校の入学式の前日にアナフィラキシーショックで救急搬送され、化学物質アレルギーと診断を受けたのだ。匂いに敏感になったことで住んでいた家には住めなくなり、急遽祖父母の家で同居生活が始まる。満員電車での通学と変わり者で頑固な祖父母との生活は想像を絶するもので、慣れない生活のストレスから、頻繁に過呼吸になった。その頃両親が離婚し、まだ12歳の私が一度に受け入れるにはあまりにも重すぎることばかりだった。学校では周りが幼稚に見えて、気の合わない人たちと無理に良好な人間関係を築くことに意味を感じなくなり、あんなに頑張って入学したのにと思うようになる。クラスのほぼ全員から陰口を叩かれ学校に行けない日もあった地獄の中学2年生を終え、中学3年生になると部活の部長を任されることになる。同学年からの信頼は薄いが、先輩からの信頼は厚いという何とも言えないポジションで様々な問題に直面し、重圧で押し潰されそうな時に名前だけ知っていたハルカトミユキの「世界」を聴いて心が軽くなった。

 高校になり学校に行けない時期も、生きることに意味を感じられずに人生を終わらせたくなった大学受験前も、ハルカトミユキの曲を聴いて救われた。初めてライブを観たのは高校2年生の時で、きのこ帝国との対バンだった。アルバム『溜息の断面図』は毎日何度も聴いた。聴いていて苦しくなる時もあるけれど、ハルカトミユキの曲はリアルで、薄っぺらくも嘘くさくもなくて、希望の歌に聴こえるのだ。多感な10代の頃にハルカトミユキに出会えたことは人生において宝だと思う。

 大学生の今、コロナ禍と祖父の介護で思うように身動きが取れない日々が続いているが、在宅時間が長くなったことでラジオが身近な存在になり、ラジオDJになりたいという新たな夢ができた。小学生の頃から、自分の発信で誰かが何かと出会うきっかけを作りたいという想いは変わらず、むしろ日に日に強くなっている。どんな時も傍にいて生活に彩りを与えてくれる音楽が大好きで、それを作る方たちに感謝の気持ちを伝えたいからこそ叶えたい夢。そう簡単には実現できないだろうけれど、少しずつ歩んでいきたい。


 長々と失礼いたしました。10周年、おめでとうございます。これからも大切に聴かせてもらいます。

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